銅版画制作の現場から

ディープエッチングというのは、その名の通り深く腐食する版画のこと。

それをしてみたいと好奇心旺盛な0さん・・

画像ではわかりにくいですが、最長2~3時間近く腐蝕液に浸けたと記憶しています。

ディープエッチングは、腐蝕したところと何もしていないところで大きな段差ができます。

そのあとインクを詰めて刷ると、その段差のきわの部分に太い線が表れます。

それが特徴であり、最大の魅力です。

そのほかにこの銅版画には、マジックインクとリグロインを混ぜて

銅版にたらし込み、その後腐蝕。

即興の不思議なマチエールが出来るのです。

ただ、画像では、わかりにくくて残念・・・

細いニードルだけで引っ掻くだけではなくて、

面白い技法がいろいろあるのも銅版画の魅力なのです。

この画像は、Sさん作銅版画です。

なんと、20数年前に制作した物を持ってきて見せてくれました。

現在作っておられるものと傾向は似ているけれど、

本人曰く、「前の方が細かく描いていた・・」、とのこと。

「今は老眼が進んできているから、眼鏡をかけないと雑になる」と言っておられました。

そういえば自分の場合も、38歳の時から拡大鏡を使っていたし、

今は、ハズキルーペと卓上拡大鏡を併用して制作しております。

だから良く見えてストレスありません。

深沢幸雄先生のお宅に訪問した時も、

「いい老眼鏡があるから、制作に不自由はない」

と言い切っておられましたっけ。その言葉に安心した自分。

話は横道にそれたけど・・・・・

それにしてもこの銅版画は繊細で魅力ある線描だと感じた次第です。

線には、その人しかもっていない特徴があります。

どうしても個性が出てしまうもの。

是非、これからも良い作品を生み出していってください。