今日は工房がお休みの日だったので、久しぶりの大きな銅版画を試し摺りしました。
サイズは32.5×33㎝と、3版使っての色彩銅版画は、摺りもなにかと手間暇かかります。
このサイズは、本当に久々♪!
試し摺りといえど、インクの量はかなりの量です。
3版にインクを詰めるのだから、時間もかかります。
完成まで、何度も試し摺りをするから、時間も根気もいるのです。
そのせいか、銅版画で多版を使い作品を作る人は少ないように思います。
言ってしまえば面倒なのです。
リトグラフやシルクスクリーンなんかは、多色刷りに向いています。
今は、パソコンで絵を描いてプリンターで印刷したものも、版画として認められる時代です。
コンクールでも、デジタルが増えました。
色が思ったのと違えば、ボタン一つで変えられて・・・
画像もどこからか引っ張て来て、たとえば輪郭だけ使って、
それに手を加えればそれらしいものができる。
時間的にも早くできて、手も汚さずプリンターに任せる。
それはそれで今の時代に合っていて良いでしょう。
版画の概念が大きく変化しています。
でも、わたしの目指すところは、それとはまったく逆の超アナログもいいところ(笑)
最近は紙も自分で漉いてみたり、下絵をアナログで描くことはもちろん、
版画の職人的な手作業の工程も含め、
好きなのかもしれません・・
自分にとっては、だれでも簡単にできるものは、基本つまらないと思えてしまう。
もちろん、絵にとって大事なのは、技法だけではありません。
デジタルでもアナログでも、素直に自分の作りたいものを
ズバリ表現できていることが最重要と考えます。
最近は歳を重ねてきたせいか・・・
何よりも素直に描くことを念頭に置き、作るようになった気がします。
いいかえれば開き直りです。
自分にできることしか出来ないのです。
流行とか、技法とか、人の作品とかがそれほど気にならなくなりました。
それはさておき・・・
これは、主版で、青系のインクを詰め終わったところです。
3版重ねて摺ってみました。
桃色が、ほとんど出ていませんので、さらにアクワチントで桃色の腐食を付け加えなくては・・!
主版の描きこみも、まだまだこれからです。
これは、版を作ってはじめての試し摺りなので、完成までは長い道のりだと思います。
これは、最近のKさんが作ったフォトグラビュールです。
セピアのインクで摺りました。
フォトグラビュール技法の後、アクワチントを施して、画面にメリハリを付けました。
この版で同じ版を2枚作ってあるので、次回は2枚に違う色のインクを詰めて
2版重ねてのフォトグラビュール作品を試作される予定♪
これは、Oさんの紙版画です。
以前に作ったものですが、色が気に入らなかったそうで、
今回は紫色のインクで仕上げておられました。
Oさんは来年、初めての個展を予定されています。
風景、人物、花などといろいろなモチーフで制作中です。