銅版画のテーマとは離れますが・・
これは先日、版画工房のメンバーTさんが、持参された
豪華なヴュイヤールの画集です。
ヤフオクで破格のお値段で、落札されたそうです。
画集の厚みが6センチもありました。
Tさんいわく、ヴュイヤールの絵の落ち着いた色調や、
日常の身近な題材を描くこと、
ゆるーい筆のタッチと全体感などが、
お気に入りなのだそう・・
今、ちょうど三菱一号館美術館でナビ派展が、
開催中のようですね。
ヴュイヤールは、ナビ派の一員でした。
画集を見せてもらいながら、美しい抽象画の構成作品を
見ている感覚になりました。
ナビ派について、少しだけ調べてみることに・・
ナビ派は、19世紀末のパリで活躍した、前衛的な芸術家の集団。
「ナビ」は、預言者を意味するそうです。
特徴は、自然の光を画面上にとらえようとする印象派に反対し、
画面それ自体の秩序を追及している、とのこと。
ドニは、次の言葉を残しています。
「絵画作品とは、裸婦とか、戦場の馬とか、
その他何らかの逸話的なものである前に、
本質的に、ある一定の秩序のもとに
集められた色彩によって覆われた平坦な
表面である。」
洗練された画面感覚とでもいえましょうか・・
現代の美術史の流れに、とても影響を与えています。
ナビ派の代表作家は、ボナール、ドニ、セリュジュ、ランソン、
ヴォラール、メレリオ等・・・
ナビ派は、浮世絵の影響を、受けていたそう。
なるほど、画集を見ていて、所々にそれを感じました。
画面上で、抜くところと描きこむところが
絶妙だと思います。
平面性と装飾性は、日本の浮世絵版画に通じていますし・・
そういえば、ゴッホも一時期、浮世絵に影響された作品を描いて
いましたね。
ヴュイヤールの画集から、いくつかピックアップさせてもらいますね。
題名等は省略させていただきました。
ヴュイヤールの作風は、その後晩年になるにつれて、
対象をより写実的に描くように変わっていきました。
どのような、心境の変化があったのでしょうか・・