ルドン展

三菱一号館美術館で開催中のルドン展に行ってきました。

「オルフェウスの死」油彩

オルフェウスは、神話上の登場人物で、いろんな画家さんがテーマに描いているみたいです。

竪琴の上に、歌や竪琴が抜群に上手かったオルフェウスの頭部がのせられて、

川に流されてゆく場面なのだそう・・

恋のお話だけど、ちょっと怖い神話らしいです。

 

「眼」木炭

ルドンは、油彩・パステル画・木炭画・リトグラフ・エッチングと

あらゆる画材と手法で作品を作りました。

モノクロで描いた、暗く目に見えない幻想的な世界を描いた木炭画とリトグラフ。

パステルや油彩の華やかな明るい色を使った世界。

この一見、両極にあるように見える2つの世界を

一つの展覧会で同時に観ることができるのは

たいへん興味深いです。

なぜ両極の世界を描いたのかいろいろ想像してしまいます。

モノクロの時代は、比較的若い時の作品。

ルドンは2歳の時、母親と別れて過ごし、愛情に飢えて育ったとのこと。

病弱で、11歳になるまで教育を受けることもなく、孤独な幼少期を過ごしたのだそう。

40代半ばに、結婚したあたりから、絵がグッと明るくなります。

人は最初から明るい場所にいるよりも、

暗いトンネルから抜け出して明るい場所に出た方が、

より幸福感は増すのではないでしょうか・・

きっと、ルドンもそうだったことでしょう。

木炭画は、若い基礎時代から好んで描き、好きな画材だったようです。

特に木炭画は、筆圧や息づかいが直に感じられて、いいと思いました。

リトグラフを作るようになったのは、30代半ば・・

40歳過ぎてから、パステル画を制作。

 

ルドンの絵には、植物や生物がたくさん出てきます。

17歳の時、植物学者のアルマン・クラボーさんとの出会いが、

ルドンの描く世界に、とても大きな影響を与えたのだそう。

その後クラボーさんは、自殺してしまい、それに落胆したルドンは、

クラボーさんを偲んでリトグラフを残す。

特に、そのリトグラフの諧調の美しさは格別のように感じました。

美術館の照明の巧みさばかりではなかったと思います。

クラボーさんはルドンに、目に見えない神秘的な植物の世界を教えてくれた。

植物の世界だけではなく、文学のことも・・

 

誰と出会い、何の影響を受けるかが大切。

何と出会うかも、運命ではあるけれど、

特に絵描きは、それを滋養として作品を作ります。

興味があったら、自分から大きく動いてみることが大事だし、

それによって、作品のリアリティーが増すに違いない・・・

そんなことを感じました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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