銅版画の技法書などによると、塩化第二鉄(銅版を腐蝕する液)による腐蝕時間は、
気温に左右されないというふうに書いてあるものがありますが、それは疑問です。
夏場と冬場では明らかに、腐蝕時間に差がでると実感しています。
春が近づいてきたものの、まだ水温が低いので、
長めに腐蝕液に浸けています。
因みに、硝酸の場合は、気温により、さらにもっと腐蝕時間がかわります。
硝酸は、うちでは使用していませんが・・
たとえば同じ1時間の腐蝕でも、個人の筆圧や、線の太さ、点描か線描、面の腐蝕と、
条件が違えば、腐蝕の程度も相当変わってきます。
なので各自が、どれぐらいの時間でどの程度の腐蝕するかを、
体験的につかむしかありません。
人それぞれなのです。
余談ですが、塩化第二鉄を温めて、銅版を浸すと腐蝕は早まるそうですが、
腐蝕液の寿命は短くなってしまうそうです。
あまり、しないとは思いますが・・
また、冬場で、グランド(防蝕液)を、ニードルでひっかいた時、
パリパリと、剥がれすぎることがあります。
ちょっとイライラしますよね。
銅版画をはじめて19年になりますが、お恥ずかしいことに
その改善点を考えたことがありませんでした。
細かい絵を描くくせに、何とかなるさ・・みたいな、性格なのです。
剥がれすぎたら、黒ニスで細かく止めたりして、あるいは
それも味か・・ぐらいに思って過ごしてきましたが・・・
工房のメンバーから、それを何とかならないかと質問され、
はてさて困った、何とかせねばということで、
ムサビ通信のI先生に質問したところ、とてもいい方法を
教えてくださいました。
さすが!!
座布団サイズのホットカーペットの上で
制作してみて、とのこと。
メンバーに実践してもらったところ、成功でした。
実は、自分はまだ、ためしておりませんけど(笑)
人に、教えるということは、自分が学ぶということと
言いますけど、それって本当ですね。