有元利夫の画集


40年ほどまえ、まだ美術予備校に通っていたころ、下宿していた国分寺にある本屋さんで
購入した画集を思い出し、何十年ぶりかに開いてみた。
懐かしい。
美術出版社2500円。
40年月日を経て、画集自体も、有元のフレスコ画のようにいい感じに風化していた。

内容を斜め読みしていたら、共感できる文を見つけた。
よい絵画とは?
その都度、観る人のレベルが、浅い時にも、深い時にも、それなりに答えてくれるものがよい絵である、
というような内容だった。
例えに、クレーを取り上げていた。
クレーは、あまり美術を知らない人でも、理解しやすいけれど、かといって
陳腐ではなくて、目の肥えた人にとっても、共感をえることができるもの
を持っている・・・
というような趣旨であった。
確か、40歳を前に、癌で亡くなられたと記憶している。
この画家が、長生きしていたら、どんなふうに絵が変わったのだろう。
浮遊感のある絵を描き続けただろうか?・・・

自分にとって、月日を経ても、貴重な画集だ。